2019/11/15
本州とは、少し異なる沖縄の葬儀について調べてみました。
大きく本州と違う点をお伝えする前に、その背景をお伝えします。と言うのも、実は沖縄にはそもそも檀家制度が浸透していません。これは、沖縄と本州の歴史の違いが起因しています。
本州で檀家制度が始まったのは江戸時代、当時の本州では全国各地に広がった寺院が「身請け制度」を行っており、これによって今で言うところの戸籍のように、国民が把握されていました。
けれどもその時、沖縄では琉球王朝の時代があったのです。
現代の沖縄に寺院がない訳ではありません。そのため沖縄の葬儀は読経を唱えて供養する仏教文化と、自分たちやユタさんによって行う御願とがミックスされています。
そのため、なかにはお坊さん自体を呼ばない家や地域もありますが、一般的には近隣のお寺などを自由に選んで、読経供養をお願いするケースが多いです。
近年では本州でも仏教的儀式を行わず、黙祷で進める「自由葬」が増えつつありますが、沖縄の葬儀の場合にはこれとは少し違います。
お墓事や法事でユタさんが依頼されることもあるように、独自のアミニズム的な宗教観があり、その上で仏教的儀式も受け入れている…、と言う感覚ではないでしょうか。
、お通夜となれば、また事情が本州とは変わってきます。
【 沖縄の葬儀のしきたり、独自のお通夜 】
★ 本州ではお通夜、葬儀、ともに重要な弔事であり、両方とも参列する方も多く、時にはお通夜のみに参列する方も少なくありません。
・ けれども沖縄の葬儀では、お通夜は遺族や故人とごくごく親しい人たちが、故人の死と向き合うための時間です。この日は参列者もほとんどなく、来てもちょっとお線香をあげたり、翌日の葬儀の日時確認に訪れる程度となります。
このようなお通夜ですから、お通夜の儀式も沖縄(ウチナー)式の御願をして済ませる家がほとんどです。御願のための言葉を唱えて、遺族や集まった人々で御願をします。
そのため、沖縄では葬儀のみお坊さんを呼び、お通夜では読経供養は、ほとんどの家で行いません。
さらに本州の方々で驚く点が、多い沖縄の葬儀でのしきたりが、葬儀が終わってすぐに納骨式が行われることではないでしょうか。
今回は沖縄での葬儀、本州の方々にとってはあまり考えられない、独特のしきたりをいくつかお伝えしました。他にも北枕ではなく西枕で寝るなど、琉球王朝時代から独自の文化を辿ってきた、沖縄ならではの風習があります。
このように仏教と独自の御願文化をミックスした、葬儀や法事の風習を残す沖縄ですが、なかにはキリスト教や仏教を信仰している家もあり、その場合には、信仰している宗教に沿ったお通夜や葬儀を行っても、もちろん問題はありません。
沖縄には檀家制度が浸透していないため、寺院も単独で存在するものが多く、寺院墓地もあまり見掛けませんが、それでも寺院墓地はいくつかあり、その信仰は自由ではあります。
ただ沖縄の昔ながらの宗教観は独特で、自然崇拝の神教的な信仰を持つ一方で、先祖崇拝も深い文化を持ち、弔事にはお坊さんではなく、ユタさんや家の長による御願を用いる家も多いです。これを「ウチナー式」と呼ぶ方もいます。
国、地域によって様々な葬儀の方法、昔と変わっていく風習、故人との最後を大切に過ごしたいですね。
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