2019/11/16
【参列者側】そもそも供花とは故人や遺族への弔意を表すもの
葬儀(葬式)の際に故人や遺族への弔意を表すために贈るお花のことを「供花(きょうか)」と言います。
供花以外にも故人や遺族への弔意を表すためのものとして果物や菓子、ロウソクを贈る「供物(くもつ)」を贈ることもあります。ただし、供物は仏教や神道で贈る慣習がありますが、キリスト教式の葬儀では贈る慣習がないため注意が必要です。
また、供花を1つ贈る場合には「1基(き)」と数え、同じ名前で2つの供花を贈る場合には「1対(つい)」と数えます。
葬儀に用いられる花は、目的が違うものがいくつかあります。
花は葬儀にも使われると知っていても、実際にはどの用途があるのかなかなか知る機会はないですよね。
ここでは、葬儀のどのようなところで花は用いられるのかを解説していきます。
献花
キリスト教などでは焼香は行いませんが、参列者がお花を1本ずつ祭壇や棺の中に供える献花が行われます。
最近はキリスト教の葬儀以外でも、献花を取り入れるケースを見かけるようになりました。
キリスト教の献花では白花で、茎が長くしっかりした生花を用います。
花の種類に決まりはありませんが、カーネーションや百合がよく使われています。
キリスト教以外の葬儀では、故人が好きだった花を使うことが多いようです。
花は式場の方であらかじめ用意されているものを使用します。
枕元に飾る花 枕花
お通夜・葬儀を通して、故人を慰めるために故人の枕元に飾る花を枕花といいます。
基本的に故人と特に親しかった人やゆかりの深い人が用意します。
花の種類や色に決まりはありませんが、白を基調とした落ち着いた色合いが一般的です。
百合やカーネーション、蘭、カラー、デルフィニウム、グラジオラスなどがよく使われていますが、故人の好きだった花を用いることもあります。
故人に寄り添うように枕元に飾るため、棘のある花や大きすぎる花は不向きです。
祭壇に飾る花 供花
亡くなった方を供養すると共に、お葬式の会場や祭壇に飾る花を供花といいます。
故人と親しかった人や、遠方などでお葬式に来られなかった人、香典不要の葬儀の時に、香典の代わりに供花が贈られることもあります。
供花の種類は、場所を取らないフラワーアレンジや籠アレンジ、広いスペースがある場合はフラワースタンドが一般的です。
地域によっては花輪だったり、邪気を祓い魔除けに効く樒(しきみ)を供花の代わりにするところもあります。
宗旨や宗派によっても異なってくるようです。
宗教別に使われている花
仏教式
日本で最も馴染みのある仏式のお葬式では、菊や百合、カーネーション、胡蝶蘭といった種類の花が一般的です。
基本的には、白を基調とした落ち着いた色合いの生花を使う場合が多いです。
しかし、最近は色にはこだわらず故人の好きだった花で祭壇を飾ったり、生前の意思を尊重して様々な種類の花を使うことも増えてきました。
また、生花ではなくプリザーブドフラワーを使用するケースも見られます。
神道式
神道のお葬式でも仏式同様、菊や百合の花を用いるのが一般的です。
特に白い菊はよく使われ、全体的に白を基調とし、そのほかには黄色などの淡い色が入ります。
また、榊を贈るのも神道のお葬式の特徴です。
海外でよくみられるキリスト教式
キリスト教式では、カトリック、プロテスタント共に、百合やカーネーション、バラといった種類の花が一般的です。
日本でよく見られる白菊はあまり見られず、菊といっても小菊やスプレー菊が多く使われます。
白以外にも青やピンク、赤と色合いも明るめです。
日本のお葬式のように香典という習慣がない代わりに、カードを添えた花を自宅に贈ります。
バスケットフラワーが一般的で、教会に持ち運ばれ飾られることもあります。
また、十字架やハート、リースのアレンジもよく見られます。
イーゼルに立て掛けたり、棺の上に置いたりします。
十字架のアレンジは肉親や友人が、ハートは親族や特に親しい友人が贈るものとなっています。
また、「Memorial Contribution」といって、お花の代わりに教会や指定する団体への寄付をお願いすることも一般的です。
菊(キク)の花言葉
菊全般の花言葉
菊の花言葉は、「高貴」「高潔」「高尚」で、この花言葉は菊が皇室の紋になっていることに由来しているようです。
皇室で菊を紋章に用いたのは、後鳥羽上皇(1183~1198)が最初といわれています。
後鳥羽上皇は衣服や調度品に菊の文様をつけるほど菊の花を気に入り、自らのお印として愛用していたそうです。
百合(ユリ)の花言葉
百合(ユリ)の花言葉は「純粋」「無垢」。
白百合(ユリ)の花言葉は「純潔」「威厳」。
オレンジの百合(ユリ)の花言葉は「華麗 」。
ピンクの百合(ユリ)の花言葉は「虚栄心 」。
黄色の百合(ユリ)の花言葉は「陽気」。
カーネーションの花言葉と由来
カーネーション全般の花言葉は「無垢で深い愛」。
「無垢で深い愛」や「母への愛」(赤)の花言葉は、母の日にちなみます。
カーネーション全般の英語の花言葉は「fascination(魅惑、魅力)」「love(愛情)」「distinction(卓越、名声)」です。
花の色による花言葉もあります。
赤いカーネーションの花言葉は「母への愛」。
ピンクのカーネーションの花言葉は「女性の愛」「熱愛」「美しいしぐさ」。
白いカーネーションの花言葉は「純粋な愛」「私の愛は生きています」。
黄色いカーネーションの花言葉は「軽蔑」。
紫のカーネーションの花言葉は「誇り」「気品」です。
黄色い花には不吉な意味をもつ花言葉が多く、黄色いカーネーションの「軽蔑」の花言葉も花色に由来すると考えられます。
- アーカイブ
- カテゴリー