2019/12/02
問題となっているのは、「墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)」と「刑法第190条」の条文に散骨が抵触して、遺骨遺棄罪・死体遺棄罪などに問われないかという点です。
結論から申しますと、現在海洋散骨は違法ではありません。
海洋散骨は「墓埋法第4条」に抵触しない
墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)の第4条には、「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。」とあります。
墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)の第4条には、「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。」とあります。
ここで問題となっているのは、散骨行為が「墓地以外の区域への埋葬」にあたり、遺骨遺棄罪に問われてしまうのかどうかという点です。
この争点に対して、厚生省(現厚生労働省)は「墓地埋葬等による法律(墓埋法)第4条はもともと火葬や遺体の埋葬(=土葬)や遺骨の埋蔵を対象としていて、散骨という撒く葬法は想定していない。」という意味合いの非公式見解を述べています。
つまり、「墓埋法は散骨について規定してないから違法とする根拠がない」、それゆえに合法であるということですね。
よって、現在では散骨は「墓埋法第4条」に抵触せず、遺骨遺棄罪に問われないとされています。
墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年5月31日法律第48号)
墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年5月31日法律第48号)
第4条 埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。
出典:厚生労働省
まとめ
少々難しい議論が続きましたので、以下にどんな問題があって、海洋散骨が合法である根拠は結局何なのかについてまとめておきます。
■ 問題とされている点
- 「散骨=墓地以外の区域への埋葬(墓埋法第4条)」となり、遺骨遺棄罪に問われる?
■ 結論
- 海洋散骨は合法
■ 合法である理由
- 厚生省(現厚生労働省)の非公式見解:「散骨については対象外!」
- →違法とする根拠がないから、散骨は合法!
海洋散骨は「刑法第190条」に抵触しない
刑法第190条には、「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する。」とあります。
ここで問題となっているのは、遺骨を粉末状にする散骨行為が刑法第190条の規定する「遺骨の損壊・遺棄」にあたり、死体遺棄罪に問われるのかどうかです。
この争点に対して、法務省は「刑法190条の遺骨遺棄罪の規定は、社会的風俗としての宗教的感情を保護するのが目的であり、葬送の目的として、相当の節度をもって行われる限り、遺骨遺棄罪にはあたらない」という意味合いの非公式見解を述べています。
つまり、散骨はきちんとマナーを守って行えば死体遺棄罪に問われることはないということですね。
よって、現在では散骨は「刑法第190条」に抵触せず、死体遺棄罪に問われないとされています。
刑法第190条
第190条
死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する。
出典:刑法第190条
まとめ
少々難しい議論が続きましたので、以下にどんな問題があって、海洋散骨が合法である根拠は結局何なのかについてまとめておきます。
■ 問題とされている点
- 「散骨=遺骨の損壊・遺棄」となり、死体遺棄罪に問われる?
■ 結論
- 海洋散骨は合法
■ 合法である理由
- 法務省の非公式見解:「きちんとマナーを守って行えば、散骨は合法!」
- アーカイブ
- カテゴリー