散骨の広まり
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2019/12/11

散骨の認知と希望者の増加

当初「非常に特殊な人々が行う葬送」と思われた散骨はこの20数年で、大きく認知されてきており、現在では「散骨」の認知度は8割以上と言われています。認知度の高まりと共に、「自分の遺骨は散骨にしてほしい」という人々の割合も増えて来ています。
過去の調査統計による、散骨希望者の割合

  • 1990年:9%「墓地に関する世論調査」(総理府)
  • 1994年:13%「全国世論調査」(読売新聞)
  • 1998年:15%「全国世論調査」(読売新聞)
  • 2001年:25.4%「葬儀にかかわる費用等調査報告書」(東京都生活文化局)

そして、2010年には第一生命経済研究所の小谷みどりさんが行った調査『お墓のゆくえ-継承問題と新しいお墓のあり方-』では、今日の現代人の散骨に対する意識を様々な角度から分析しています。

これによると、「自分は遺骨を全部撒いてもらいたい」、「自分は遺骨を一部だけ撒いてもらいたい」を合わせると、散骨をしたい人は28.8%になりました。また、これを年代別に分けたデータを見ると、この「散骨をしてもらいたい」グループは65歳以下では30%を超えています。

散骨についての考え調査結果

散骨の始まり

「散骨」の画像検索結果

現代における散骨が始まったのは1990年の事です。その草分けとなったのが「葬送の自由をすすめる会」その名の通り、「葬送の自由」を社会にひろめる事を目的として、安田睦彦会長を中心に1991年に結成された団体です。現在も積極的に活動を行っており、現在の会長は西俣総平氏です。

元々山梨県の環境問題に取り組む中で、自然を破壊しない葬送としての陸上散骨を進めようと思っていた安田氏は、研究の結果、散骨が法的には問題ないことを確信し(このページ下部参照)、この葬法としての散骨への想いと主張をまとめて、1990年9月24日の『朝日新聞』の「論壇」に「『遺灰を海や山に』は違法か ― 規制なく先入観で葬送の自由を失う」を投書します。そして、その投書の反響の多さに励まされた安田氏は1991年2月、「葬送の自由をすすめる会」を立ち上げます。

そして「葬送の自由をすすめる会」は、1991年10月5日に初めて、相模灘で散骨を行いました。 以来、2014年の時点での散骨実施数は1900回、3300人の散骨を行っています(別冊宝島「新しい葬儀の本」2015)。

散骨は方法か、ロマンチシズムか

ハワイでの散骨

ハワイでの散骨

上記の理由にはいくつかの現実的な、そしてロマンチックな想いが混在していると思います。
「跡継ぎがいない」、「お墓詣りで迷惑をかけたくない」、「お墓が高額」という人たちにとっては、散骨は問題解決の方法です。「お墓を作らない」という選択があり、その方法として散骨があるのです。特に海に思い入れが無いのにもかかわらず、海洋散骨を選択する人も多くいます。先の第一生命の小谷みどりさんの研究でも、「自分は遺骨を全部撒いてもらいたい」という人たちが散骨を希望する理由には、費用や跡継ぎ問題が多く見られました。

また、実際に散骨した人たちに聞くと「本人が言い遺していった」というようなケースがよくあります。このようなケースでは、逝く人が遺される者のことを思いやって、「散骨にしてくれ」ということでお墓問題を解決しようという意思が見受けられます。「お墓問題の解決としての散骨」は、故人の希望抜きには心理的な抵抗が高い(本当にこれでいいのか、故人はこれをどう思っているのかという思い)ものなので、本人の希望であるという明確な支持があると実施しやすいのかと思います。

逆に、散骨が、何と言いましょうか、ロマンチックな「想い」を成就させるためのもの、という方たちもいます。思い出の地に眠りたい、というような人たちです。小谷さんの研究では、「一部散骨」の人には「思い出の地に眠る」を選択した人が多かったというデータもあります。 私が実際会ったり、お話をした人の中にはこんな理由で散骨をした人たちがいました。

  • 母はフラダンスが大好きで、年に3回はハワイに行っていた。ぜひハワイで散骨してあげたい。
  • 息子は将来国際的な仕事をすることを希望していたが、志半ばに亡くなった。体が弱く、実際に多くの国に行くことも叶わなかったので、子供の友人が海外に行くときには少しずつお骨を託して世界中に散骨してもらった。
  • 故人は生前海底ケーブルを設置する仕事をしていた。長期にわたり海外も含め海に行っており、遺された家族はさみしい思いもしたものだ。それでも、今なくなってみると故人の居場所は海にあるような気がする。

散骨と仏教

散骨について仏教界はどのように考えているのか、なかなか明確な言葉は聞けません。真正面から反対の僧侶の方もいるようですが、よく聞かれるのは「散骨には反対ではないが、全部散骨は反対」「少し手元に遺したほうがいい」というお話です。しかし、なぜ少しお骨を残すことにこだわるのか、どのような意味があるのか、はっきりしたお話は伺った事はありません。もちろん、「何もなくなってしまうとさびしい」「よりどころが必要」と言う事を遺された遺族がいうのは理解できますが、仏教という側面からそれはどう理解されているのでしょう。仏教的には、遺骨は礼拝・供養の対象ではないと思います増すが…。

仏教的な観点で、散骨、特に全てのお骨の散骨に反対することに「お寺の経営を守るための論理」があるのかどうか、これについてはまた勉強して追記していきたいと思います。

(散骨が)違法だから広まりはしないなどと構えている余裕はない。昭和23年に施行された法律に言う「国民の宗教的感情」が現代にそぐわないと判断されたとき、一定の条件下での散骨が合法化され、寺から墓地がなくなる時代が来るかもしれない。その時私たちは、供養しているのは遺骨ではなくそれを使って一生を生き抜いた故人の魂なのだとはっきり言えるだろうか。
– 中略 –
『おまえたちは修行完成者の遺骨の供養にかかずらうな。どうかおまえたちは正しい目的のために努力せよ』
釈尊がアーナンダに遺したとされるこのお言葉は何を意味しているのか。正しい目的とは何を指すのか、ゆっくり考えなければならないときが来ている。

(2014年7月10日 「国民の宗教感情」 日蓮宗新聞社 論説委員・伊藤佳

通)

色々な散骨の方法と費用

散骨のタイプ概要費用の目安
業者さんによる海洋散骨
委託散骨散骨サービスの会社にお骨を預けて、スタッフのみで行う散骨。処々の事情で参加が難しい場合などでも、散骨の希望を叶えられる。散骨した位置の証明や写真などを用意してくれる会社が多い。5万円~
合同散骨複数のグループが船に乗り合わせて行う散骨。 乗り合いなので、日程調整などが必要になりますが、その分費用は安くなる。他の家族が一緒で気を使うこともある半面、同じ場所で散骨するという共通点からの親近感もあり、問題にならないことが多い。個別に問い合わせることが出来るほか、海洋散骨の情報サイト「散骨海洋葬ネット」が合同散骨全国日程表を提供している。10万円~
個別散骨故人のご親族や友人のみで船を貸しきって行う散骨。プライベートなセッティングなので、お別れに集中できます。出航から帰港まで全体がお別れのセレモニーとなる。お日にちなど融通が利き、ルートや演出などの希望に沿う事も可能。 20万円~
陸上散骨専用散骨場での散骨「葬送の自由をすすめる会」では陸上散骨の写真や、陸上で散骨できる場所の紹介を写真付きでしているので、実際行っていると思われる。一般に開かれていない(おそらく個人所有の土地に所有者の許可を得て行っている)ので、会員になる必要がある。戸田斎場グループの「株式会社カズラ」は、島根県隠岐郡海士町の大山隠岐国立公園の一部、「カズラ島」全体を散骨場にするという事業を行っている。ネット上には「山・里山での散骨」を謳った散骨サービスも見受けられるが立場(宗教施設か、運営者の私有地か)や、その継続性などが不明確のところが多く見受けられる。5万円~
(カズラは20万円以上)
寺院型寺院の敷地内に散骨。形式としては散骨だが、形を変えた永代供養と考えられる。樹木葬で紹介した西寿寺にはしだれ桜の周辺に散骨できる散骨場を持っている15万円~
バルーン葬天然ゴムのバルーンで成層圏に散骨をする方法。全骨を散骨できる。20万円~
空中散骨ヘリコプターからの散骨。25万円~
宇宙葬遺骨を宇宙に散骨できる。非常にわずかな量(数グラム)なので、シンボリックな意味合いのみ。25万円~
海外で散骨海、山、陸地、とチョイスも広い。個人でもできる。ハワイで
10万円~
個人で散骨粉骨(遺骨のパウダー化)だけを依頼して、自分で散骨する方法。やり方によってはトラブルの種になる可能性もあり、下の「散骨の方法と場所、気を付けるべきこと」をよく理解し、自己責任で行う必要がある。
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